【自然生態系利用野菜栽培】最初の一歩で読むべきお勧め本はこの2冊

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今回は自給野菜栽培をするにあたってオススメの本を紹介したいと思います。

他の記事をご覧になった方はもうご理解いただいているでしょうが、このサイトは単なる野菜栽培を目指しているのではありません。

自給する人が、個人個人のおかれた環境の中で、経済的にも肉体的にも無理をせずに野菜を収穫して食べ続けることができることを目的として、その目的を達成できるやり方のみを試行錯誤しています。

お金を使わないとできないことはなるべくやらない

よって、基本的に常識とされる植物の栽培方法とかなり異なるやり方をご紹介しています。
そのような方向にあって、なおかつとてもとても血となり肉となる、何度も読み返すたびに学びが深くなるような、一生ものの良書を厳選して、二つご紹介いたします。

それではいってみよう!

無肥料栽培を実現する本

最初にご紹介するのは、岡本よりたかさんの『無肥料栽培を実現する本』です。

この本は文字通り、無肥料栽培を実現するために書かれた本ですが、一般的に無肥料というと、肥料となるような資材を、一切与えないことのようなイメージですよね。

岡本よりたかさんが定義する無肥料とは、これとは少し違っています。

無肥料の定義

この本では無肥料の定義を、以下のようにしています。

お金を払わなくても、持続的に用意できるものだけを使って栽培する方法

続・無肥料栽培を実現する本

つまり、購入する必要があったり、ガソリンなどのエネルギーを使ってわざわざ調達しないといけないようなモノが肥料となります。

エネルギーを使ったとしても、生活の中で副産物的に発生するモノなら肥料ではないよ

家畜の糞なども、買わないといけないなら肥料で、自分で鶏などを飼っていて継続的に手に入るなら肥料ではない、という考え方です。

これ極端にいえば、自作できるなら、化学肥料もオーケーということ。
まあ、化学肥料の自作なんて個人ではできないですけどね。

化学肥料は原材料も製造も、限りなく100%に近い外国依存だから、自作できなくても落ち込むことはないよ!安心してね!

本の中で、別名よりたか農法と表現していますが、この農法はあくまでも、自分の暮らしの範囲内での循環を大切にしている農法ということです。

目指すは一億総兼業農家

手順を教える本ではなく、考え方を教える本

そんなこといっても例えば米ぬかも籾殻も稲作をしてない限り発生しないので、家庭にあるという人はいませんね。
農業系の情報に肥料としてよくでているモノの中で、自作できるような原材料なんて周りにはなにもないよー。
…と、多くのひとが思うでしょう。
こういう、実際に家庭でやってみようとしている人の状況を無視して進めちゃってるのが現在の家庭菜園マニュアルです。

この本の特徴であり、唯一無二の存在としてオススメできる点がここにあります。
手順は二の次で、考え方を徹底的に重視して伝えようとしているところです。
種の蒔き方を教えるのではなく、種の蒔き方をその植物に聞く方法を教える、というように、全ての人が利用可能で必須の情報ですね。

例えばよくあるマニュアルに、米ぬかをまきましょうと書いてあったとします。
これだけだと、米ぬかを用意できなかった人はそこで終了です。

行動力があり、手順だけをおった人は、安全に無農薬で育った玄米から取られた米ぬかを探し求め、遠ーーーくの地方まで行って買ってきたりします。
気持ち的には大満足でしょうが、これではこの時点で大赤字です。

ではなくて、米ぬかが主に含んでいる栄養分はそもそもなんだと考える。リン酸だ、と。
そのことが分かれば、じゃあ代わりにリン酸が補給できる資材はなんだろうと考える。
そもそもリン酸てなに?自然の中ではどうなってるの?

で、そういうことが分かって、順に辿っていけば、途中を端折りますが身近なところでは雑草生やせば良いんだとか、昆虫を呼べば良いんだと自分で思いつけます。

考え方とそのための最低限の知識があれば、自分の生活の循環の範囲内で、無理のない対応策がいろいろ練れるようになるんです。

なので、そもそもそれってなんでやるの?を、徹底的に学びます。学ぶことができるんです。こんな本は本当になかなかありません。

1m2から始める自然菜園

次にご紹介するのは竹内孝功さんの、『1m2から始める自然菜園』です。

一言でいうと、1m2という限られたスペース内で成立する15通りの野菜栽培の組み合わせが紹介された本です。

その名も「ぐるぐるリレープラン」といい、夏畝と冬畝の二つの野菜栽培の組み合わせで一つのプランとなっています。

ぐるぐるリレープラン

例えば、一番初めに載っているのが、トマトが主役の組み合わせとキャベツが主役の組み合わせのプラン。

これが、同じ1m2という敷地内で、トマト→キャベツ→トマト→キャベツ→トマトと、ずっと繰り返し栽培ができるというわけです。

だから、ぐるぐるリレープラン。

れ、連作障害ってどーなっているのでしょーかー!

同じ場所に同じ野菜を連続で育てていると土の中のミネラル等が偏ってしまい、だんだん正常に野菜が出来なくなる現象が連作障害です。

ここにでているプランはどれもこれも、主役の他に必ず脇役を何種類が混植します。
そうすることによって常に数種類の植物が生えている状態になるので、連作障害は起きません。

2割作業がちょうど良い

この本をオススメにした一番の理由は、これくらいの限られたスペースでも十分に自然を利用した栽培はできるという可能性を示してくれたことです。

自給自足の手始めとして畑をやってみると、自分の許容量を超えた広さで始めてしまうと地獄ということが分かります。
自然は待ってくれませんから、時間の経過とともにやらなければならないことが追いつかなくなってきます。
こうなってきたらもう最後、常に作業に追われることになってしまい、仕事じゃーんと誰もいない中つぶやくことになります。
大抵種まきや苗の定植をしなければいけない時期は雑草が一番輝く季節。きっと草刈りだけで帰らなきゃいけない時間になることでしょう。

畑は、2割作業、8割観察くらいがちょうど良いと言われています。

ましてや、初めてやる時なんかは、10割観察くらいでも良いくらいです。

…作業は?

それなのに、今日中に種を蒔かなきゃいけないとか、今日中に苗の定植をしなきゃいけない、畝を整備しなきゃいけないとなると、よく分からないまま慌ててやってしまい、失敗しがちです。

しかも、曖昧なまま慌ててやってしまったもんだから、なぜ失敗したのかの原因もボヤけて次に繋がらず、一年を棒に振ることになります。

おー、経験者が語ってるねー

そうならないために、初心者がこだわるべきことは二つ!。出来るだけ自宅から近いところで畑をやることと、とにかく最初は物足りないんじゃないかと思うくらい、小さなスペースで始めることだと思います。

特に!

働きながら畑もやってみようなんて人は悪いこと言わないから、本気で1m2くらいから始めてみるのがオススメです。
それくらいであればかなり余裕で作業ができ、じっくりと観察ができ、一生使える生きた経験となると思います。

そうはいえどもそんな狭い範囲内で上手いこと一年を通して栽培できる組み合わせを考えるのって経験ゼロからでは難しい。農業じゃまずない前提ですから、そんな情報なかなかでていません。

そんななかで、いろいろ試行錯誤の末これならいけるよとたくさんの例を提示してくれてるからこの本は貴重なんです。

終わりに

今回は『無肥料栽培を実現する本』シリーズと、『1m2から始める自然菜園』の二つをご紹介しました。

大まかに、自然栽培系の本というのはたくさんでていて、その多くは今の現代に生きる人にとって必要な価値観や選択肢をたくさん提示してくれる素晴らしい内容なのですが、残念ながら手順を重視したものや、その思想(あとは気合)を重視したものばかりで、読み手の再現性があまり考えられていません。

その中で『無肥料栽培を実現する本』を最初に読んでおけば、その後に読むたくさんの本も、

「原理がこうだから、このやり方はこのあたりの効果を狙ってやっているんだろうな」

ということが推測できて、なぜこの人はそれをやっているのかが分かり、それを自分や畑の状況を踏まえて再現するべきか否か、再現できるか否か、同じような効果が期待できる違うやり方があるかどうかなど、自分で色々思いつくことができるようになり、たくさんの本を実践レベルで参考にできるようになるでしょう。

『1m2から始める自然菜園』は、都市部に近い場所に住む人や、自給に取れる時間が少ない人に特にです。

やはり、その読み手がどんな状況かということを考えられている自然栽培書は少なく、極端にいえば、誰もが広い畑を使えて、栽培をするための時間も十分にある、という前提で書かれているという印象をうける本がとても多いです。

そんな中でこの本はそんな人たちを無視することなく、自然にそった野菜栽培を、よりたくさんの人が再現できるようにという優しさがあります。

これからぜひやってみたい!と考える多くの方に自信を持ってお勧めします。
ぜひ手に取ってみてください。

最後まで読んでくれてありがとう!
またね!

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