意外と最大の難関?自由な農法でできる自分のための畑用土地の探し方

農・栽培

自給のための野菜栽培をするなら、やはり畑でやるのが一番です。

けれども自由にできる私有地があるなら問題ないですが、ある程度の都市部に住む人の中で、そんなまとまった土地を所有している方は少ないと思います。

今回はそんな人たちがプランター等ではなく、キチンと畑を利用して野菜の栽培をするために、土地の取得・貸借にはどんな選択肢があるかをまとめてみます。

耕作放棄地が増えているんでしょ?そのへんを借りれば良いじゃん

それが簡単にできれば良いんだけどね…

農地を買ったり借りたりは事実上農家にならないと難しい

なぜ?

建前として、食料生産というのは国にとって大事なことです。

土地というのはそのほとんどを国がおおまかに使用目的を決めていて、ここは食料生産のための場所とするねと一旦決まった場所は、『農地』と定まっています。

もしこうやって定めていなければ、農地だろうが宅地だろうが山地だろうが、家を建てたり商業施設を建てたりが自由にできてしまい、食料生産をするための土地が無くなってしまうでしょう。

建物を建てることができるのが『宅地』ね

というのも、実際、農地というのは他の土地と比べてすっっっっっごく安いんです。家一軒建てられるだけの広さの土地が、数十万円で売ってたりします。

これは全体的に農地の評価額を国が安く設定していることが主因です。

一定の広さで生み出される利益が、他のビジネスと比べて農業は総じて低い、というところから価値が低くなっているというのが大きな理由のようです。

そんな現状で安くなっているので、宅地のように、もし取得した人が農地で自由に好きな建物を建設できちゃったら、みんな安い方の農地を買って家を建てたり、農業以外のもっと儲かることに使っちゃうでしょう。そしてあっという間に自国の耕作可能な土地が激減するでしょう。

まあ人口も減ってるから、割高の宅地が見向きもされなくなって今以上に空き家が増えて廃墟だらけになるだろうね

うーん、ある程度農地とか宅地とか区分けして制限をかけるのは必要なことなのかもね

そんなことにならないように、農地を他の事に使えるように転用するというのはまず無理、できるにしても吐き気がこみあげるほど面倒くさくしているのは当然で、農地を買うとか借りるというのも、すっごく厳しく管理されています。

農地の取得や賃貸は農業委員会が窓口

まず農業委員会を通さずに、農地を個人間で売買や賃貸借契約は原則できません。
農地の取得や借りるためには農業委員会の許可が絶対に必要です。

許可の条件

農地を守るために農地法という決まりがあります。許可をえるためにはこの農地法に定められている以下の4つの規定をクリアする必要があります。

農地の全てを効率的に使用すること

農業の事業計画書である、営農計画が必要です。

必要な農作業に常時従事すること

最低でも年間150日の農作業をする必要があります。

一定の面積を経営すること

基本50アール(5000m2)北海道はその4倍(20000m2)

事実上農家の認定を受けるのと土地の取得や貸借は同時。
条件を満たすには、最初に最低限これだけの広さの農地をいっぺんに確保しなきゃいけない

あくまでも全国基準なので、場所によってはもう少し条件がゆるかったりするよ。地元の自治体に確かめよう

周辺の農地利用に支障がないこと

周辺に迷惑がかかるような奇抜なことするなよ、ってことのようです。

これが4つの条件。本気でやらないヤツには農地は使わせない。
事実上農家になれと言ってるようなモノ

百歩譲って事業としてちゃんとやらないと農地が使えないだけならまだしも、農業委員会の許可が必要ということは、農業委員会の考えに沿った計画をたてる必要があるということです。

ある程度生産できる見込みがないといけないので、カッチリと人間によって管理可能であることは当たり前という認識です。
ということは、土壌の状態も種や苗もゼロからコントロールできるようにしなければいけません。
具体的に言えば、耕起をして、一旦全ての不安要素(生物)を排除し、肥料も使い、農薬も使わないと、よっぽどの達人で実績を持っていない限り、農業委員会が満足するような営農計画をたてることはとても難しいでしょう。

最低限の耕作面積が決められ、その敷地をまんべんなく有効利用する計画をねらなきゃいけないとなると、ほぼほぼ高額なトラクター等の機械が必須となります。
そんなまとまったお金が無い場合、融資なり補助金なりを利用して借金することになります。
そうなると返済のために安定的な収入が必要になるので、農協の指示どおりやらざるを得なくなります。

農業委員会から許可をもらうための計画にせよ、資金面にせよ、農地取得のためには事実上慣行農法しか選択することができない、と受け止めても大きな間違いではないでしょう。

結論としては、自給をするために農地を取得する、借りるというのは、現実的ではありません。

農地以外を借りる?

例えば家が建っていない土が剥き出しの宅地などです。

先程も書いたとおり、農地は土地価格自体は安いので、当然、借りる場合もすごく安く借りることができます。1000m2で年間1万円とかザラです。
一方、駐車場で例えますがどうでしょう。車一台のスペースが大体『月』で1万円前後ではないでしょうか?

桁が違う(w

一般人向け・市民向けの貸し農園

家庭菜園がしたい人向けに、土地をいくつかに区切って貸し出している個人・法人・自治体があったりします。
こういったところの多くは、農園利用方式と呼ばれる方法をとっているので、一般人でも農地を利用できます。

農園利用方式…農地を貸すのではなく、園主の指導の下で利用者が継続的に農作業を行う方法

なんだ。じゃあこれを利用すれば良いんじゃん

ここで気をつけるべきことは、『園主の指導の下で』という部分です。
つまり、持ち主の望むやり方でしかやれないということで、そのほとんどが木を植えてはいけないし、雑草を生やしてはいけません。

農業の常識として、雑草は肥料を奪ってしまう存在なので、雑草を一本でも生やしているイコール、真面目に農業をやっていない、というレッテルを貼られます。

その延長線上で、雑草管理はしっかりするという規則が明記されていなくても、大勢の人たちと共同で使っている農園で、一人だけ草をボウボウに生やしたりの生態系利用をやっちゃうと、非常〜〜に居心地悪くなります。

ほとんどの貸し農園では自然生態系を利用するやり方はできないと思っちゃってオーケー

地主さんと直接交渉

一般人向けに解放されている土地ではなく、耕作放棄されている農地の地主さんに直接交渉して、農園利用方式で使わせてもらう。
おそらく、一番、可能性が高いのがこのやり方です。

とはいえこの方法が万能というわけではありません。

地主さんの気持ちを考える

昨今は農業の担い手が減り、その上高齢化が進んでいることもあり、耕作放棄地がものすごいペースで増えています。
それなら簡単に借りれるんじゃないかと考えてしまいますが、この地主さん、特に農地においては、先祖代々守ってきた土地、という気持ちが非常に強い方が多いです。

そんな大事に守ってきた農地を、見ず知らずの他人に使わせるでしょうか。

また作物の栽培は、土壌環境がとても大切です。もしも貸して、変な薬をまかれて数十年全く植物が育たない環境にされてしまったらどんな気持ちになるでしょうか。

取り返しがつかないよね

高齢な方であれば、わずかな利用料を得るためにそんなギャンブルを犯すくらいなら、たとえ耕作放棄状態でも、自分の代では何事もなく過ぎ去ってくれたほうが良いと望んだとしても決しておかしいことではないでしょう。

こんな気持ちなんです。

また、自分がやっていたやり方を大きく外れるやり方でやられるのもそんな不安を抱いてしまう要因となります。

だから貸し農園と同じように、雑草が生えていたりすると、自分が大事に使ってきた土地をちゃんと使ってくれていないと、ほとんどの人が思ってしまうと考えてまず間違いないでしょう。

結局時間をかけて信頼を得るしかない

とはいえ、現状、農地法の制度が大きく変わらない限り、この直接地主さんと交渉しか、このサイトで推奨するやり方で家庭菜園を個人でする場所の確保は難しいでしょう。

じゃあどうするかですが、一言でいえば農家さんをはじめとした、地元の人たちとたくさん繋がるしかありません。

そして一人一人と膝を突き合わせて自分の思いを伝えるというドブ板営業をするしかないと思います。

何を思い、何を考えているのかをきちんと伝えないと、他人は、あなたを好きにも嫌いにもなりません。

発信することによって、嫌いになる人もいるでしょう。でも自分が自分のことを間違っていないと胸を張っていえるなら、きっと分かってくれる人が一人くらいいます。

信頼をえて、コイツに使わせてやろうかと思ってくれる人が現れるのを信じて、恐れずに伝え続け待つしかありません。

もうホントタイミングと縁

地域の人とたくさん会うこと。自分のやりたいことをいろんな人に普段から喋ること

もしそれで使わせてもらえる場所ができた場合は、あくまでも持ち主は地主さんだということを忘れずに、草を生やして大丈夫か?木を植えて大丈夫か?こういうやり方でやりたいんだということを、きちんと伝えて細かいくらいに確認し、ことあるごとに報連相をするくらいでちょうど良いと心がけましょう。

マジでこれ大事です

地主さんのおかれた状況と気持ちを常に想像する

私(このブログの筆者)の場合

私は現在、地元のNPO法人が運営している、無農薬栽培を基本とした貸し農園で、50m2の区画を借りて、協生農法を見よう見まねで実践しています。

こちらも、私はNPOの代表理事と出会い、貸し農園の立ち上げを少しだけ手伝いました。

そして機会があるごとに自分のやりたい農法とその目的を伝えていたところ、代表理事は運営開始時に規約に『理事が許可した場合にのみ、背丈を越えない程度の高さまでなら木を植えて良い』という一文を加えてくださり、無事にやりたいことをやらさせてもらっています。

草生やすはともかく、木を植えるってのは結構許可を得るハードルが高い

本当にご縁としか言いようがないのですが、あえて今自分の好きな農法がやれている理由をあげるなら、やはりやりたいことをたくさんの人に言い続けたことだと思います。

その貸し農園のNPO法人のWEBサイトはこちら。
お近くの方は利用検討してみてね。

終わりに:まずは初めの一歩から

いかがでしたでしょうか?

結局、すぐにでも成果が出せる裏技的なことは何もない、時間のかかるやり方が一番成功率が高いよ、というお話しでした。

ただ最後に少しだけとっかかりのヒントを。

それは、実際ある程度の広さの農地を使って、実際に農作業をしているコミュニティに入ってみることです。
農地を使っているということは、農家さんがメンバーにいるか、農地以外の私有地を贅沢に使っているか、時間をかけて地主さんの信頼を得たかのいずれかだと思います。

最初から方向性が近い方が多いですので、ただ単に闇雲に会う人会う人に自分の考えを話すよりも、自分の求めるものと繋がる確率が高いでしょう。

農法の考え方の違いとかで喧嘩しちゃダメだよ

そうであれば、あなたがかけなければならなかった時間のいくばくかを短縮することができます。
きっとあなたの地元にも、このような方向性の団体がたくさんあると思います。まずはそういったところを見つけて、顔を出してみてください。

最後まで読んでくれてありがとう!
またね!

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