農薬のイメージは?現状を認識して安全性と課題を自分で確認しよう

農薬トップ画像 農・栽培

今回は農薬について書きたいと思います。

もとから農薬の危険性を叫ぶ声は大きく、成熟社会に移っていくなかで減農薬やオーガニックを選択をする人々もだいぶ増えてきました。

6080プロジェクトでは、その危険性以前に、使ったら確実に生態系を再現できなく確実に機材・薬剤・資材に依存してコストをかけないといけなくなるということで、やっぱり使うわけないよね、という結論になります。

なので結論はでているのですが、それとは別で結局危険性はどうなの?というところと、農薬をどう捉えるべきかを判断するために、この辺りが大事なんじゃないかなという部分を今一度整理したいと思います。

結局農薬って安全なの?危険なの?食べて良いの?ダメなの?

このへんの整理をしてみよう

【農薬】とは

種類

農薬はこれらの薬剤等の総称です。

・殺虫剤・殺菌剤・除草剤
・殺ダニ剤・殺鼠剤・誘引剤
・交信かく乱剤・植物生長調剤・天敵
農薬の種類

農薬の目的

作物に害をなす全ての生物を排除することが目的

  1. なぜ農薬は必要なのか=答え:農業の畑は自然ではないから
  2. 単一品種生産=管理しやすい
  3. 栽培植物は自分自身を守る能力が低い=食べやすい・美味しい

人にとって好都合は、病害虫・動物・雑草にとっても好都合

環境的にどうしても集まってくる

【毒】とは

毒性をきちんと学ぶ

(毒性×量>致死量)=死

毒かどうかはその毒性×量で決まります。この総量が致死量を超えた時に生物は死に至ります。
つまり、毒性が強い成分は少量でも死にますし、毒性が弱くても量が多ければやっぱり死ぬということです。

致死量を超えることなく、十分安全な量であれば、逆に生物にとって有用な成分となるものもたくさんあります。
その代表的なものが医薬品ですね。その他にも身近にはコーヒーや塩・砂糖。これらだって、一度に摂取できる許容量を超えれば人は死んでしまうのです。

コーヒー豆
角砂糖

【急性と慢性】

毒の危険性を考える上で、急性と慢性をごっちゃにしないことはとても重要です。
順番に見てみましょう。

【急性中毒】とは

一時的に身体の許容量を超えて成分を吸収してしまって異変を起こしてしまうこと。
ただこれは先ほどの毒性のことを考えれば、許容量さえきちんと気をつければ危険はほぼ無いとわかります。

農薬の場合は、散布直後の一番濃度が高い状態が一番急性中毒の危険性が高まる時です。
ただこの場合、一番危険に晒されるのは農家さん本人です。

農薬散布


当たり前ですが、全ての薬品は安全とされる基準値が決まっています。当然、農家さんだって死にたがっているわけではないので、その扱いにはとても慎重ですし、絶対に絶対に絶対に急性中毒に陥らない、十分安全とされる基準値をきちんと守って使用するのが当たり前と考えるのが普通でしょう。

強いて私たちが心配なのは、自分たちが手に取る食品が、本当に基準値以内の量で農薬が使用されて育てられたかどうかです。考えたくはありませんがこのへんドローンとか機械任せな上、そのへんの意識の低い農家さんもいるかもしれません。しかしこれは少なくともお店で買う作物に関しては確かめようがありません。

これを言ってしまうと減農薬やオーガニックとして売られているモノも確かめようがないんだけどね

ドローンと畑

今現在の仕組みや技術でかんがみれば、無農薬のモノを買いたいなら、お店で売られている無農薬と謳われたモノを買う、は、現実的ではありません。上記のように、確かめようがないからです。

厳密にいうと日本で無農薬表記で食品を売るのは禁止されているよ

これを解決したいなら、お店で農薬の有無の表示にこだわるよりも、農薬を使ったとしても基準以下を守って使ってくれると信頼できる農家と直接繋がる。もっと確認したかったらそこの作物を独自で検査するコミュニティを作る、のほうがよっぽど現実的ではないかと思います。

まとめると、

農薬そのものを忌み嫌うのではなく、許容量の基準は正しいのか、その基準値は守られているのか、が問題。

急性中毒においては、過度な不安はダメ。根拠なき安心もダメ。

となります。

【慢性中毒】とは

一度の量では問題無くても、長期的に摂取し続けて蓄積されて徐々に生体機能に影響が出ることを慢性中毒と呼びます。

壮大な長期実験

この慢性中毒の危険性をどう決めているかを調べてみると、動物で一年間もしくは数年実験して問題ないかで判断しているようです。

しかし実際食べるのは人間で、しかもその期間は数十年です。世代間で受け継がれてしまうことも考えると、100年単位でこれからも続いていく壮大な大実験なわけで。

これを動物で、しかも数年しか試していないのに「大丈夫です」と言い切ってしまっていることに違和感。

…を、感じませんか?まあ実験に百年もかけてられないしね

ぶっちゃけ公表されている数字をそのまま鵜呑みできるかどうかも個人では確かめようがない。疑い出したらキリがない

結局確かめようがない。もう一言でまとめれば、これです。

現実に様々な社会問題が食との関連性を問われています。
だけれどもそれは住環境だったり生活環境だったりが原因とも考えられて、確かに一概には言えないのです。

それはきっと、今後も変わりません。

環境問題や健康問題で農薬を責めるなら、コンクリートもプラスチックも洗剤も電気も水洗トイレも取り上げないと綺麗事になっちゃわないかい?

木を見て森を見ずだね

このへんの社会問題との関連性について、農薬の安全性を決める人たちの見解は、

明らかな原因は解明されていない、よって農薬が原因とは断定できない。

というような認識のようです。

原因が農薬と断定できないから農薬は悪くないという話だけれど、原因が農薬ではないと断定もできてない。

その上、今のところ実験結果では問題無いとされていることが、今後研究が進んで、この結果内容が変更になるようなことがあればしかるべき対応をとる、ということだそうです。

今日、安全ですと言っている農薬が、明日、やっぱり危険でした、と言われる可能性はある

そうなっても今まであなたが摂取してきた蓄積はもう取り返しがつかない

以上のように、慢性中毒においては、

人類で全貌を理解している人は皆無。根拠をもとに判断できない。

となります。

なんだか急性の時と真逆なこと言ってるね。落ち着かせたいのか煽ってるのか。

だから急性中毒と慢性中毒はきちんと分けて考えないとね。

結局どっちよ?

ここで一番言いたいことは、顔の無い人の意見だけで、不安がったり、楽観したりするのがダメなんだよ、ということです。

この記事もそうだね(w

結局は個人個人が判断するしかなく、それは100%『勘』(今までの経験に基づいた直感)の世界です。

これらをなにも知らずに単なるイメージで不安を持つことと、現状を知り、原因とは決めつけられないと理解した上で、勘の世界で不安を持つことは、同じ不安でも根本的に全く違います。

「根拠なんて無いけど私の直感が農薬を拒否してるので、私はできるだけ無農薬を選びます」
いろんな数字や資料を引っ張りだすよりも、こっちの方がよっぽどいさぎよいでしょう。

根拠なんてなくて良いので、しっかり知った上でイヤだと感じたならハッキリとイヤだと言ってやれば良いのです。

あと自分の意見を他人に強要しない。これ大事

農薬を取り巻く数字のマジック

先程述べたように、公表されている数字をそのまま鵜呑みにできないという意味は、真偽を確かめようがないという意味もありますが、鵜呑みにすると現実とズレた認識の原因になるよ、という意味もあります。

その一つの例として、国別に同じ面積当たりで使用されている農薬量を比べると日本はめっちゃ高い問題を見てみましょう。

国産の方が危険?

日本は外国と比べて1㎡あたりの農薬の使用量が多いんですって。

これだけを見ると、国産よりも外国産、となってしまいますね。
しかしこの数字は、その国で生産されているモノ全てを合計してだした数字です。

日本と外国では、生産する品種の比率がまず違います。

例えば欧米の多くの国は日本の使用量の半分にも満たしませんが、そもそも主流が農薬をそれほど必要しない穀物類が多く、日本は使用量の多い果実系の比率が高いです。

これを全部引っくるめて足して割ってしているんです。

また、生産する環境の違いもあります。

日本はご存知の通り温暖湿潤です。欧米は涼しく乾燥した土壌が多い。温暖湿潤の方が病害虫が多く発生しやすく、必然的に使用量が多くなるので、別にタダ楽に安く作りたくてやっているわけではなく、その環境内でできるだけ適切な方法をとった結果です。

ポストハーベスト

それに加えて看過できないのはポストハーベスト。

確かに生産時に使用される農薬は少ないかもしれないけれど、外国って遠いですよね。

長い船旅で多くの作物は害虫やカビによる商品価値の低下リスクに晒されます。

コンテナ船

これに耐えられるようにするには工夫が必要で、何をしてるかというと収穫物に直接ぶっかけるです。

え?なにを?

わかるでしょ

それに輸出用は平気でそもそも農薬を必要としない遺伝子組み換え作物が使われているし、その輸送だって莫大なエネルギーが使われますし、それでも国産よりも安いモノがあるならそれは現地の労働者にシワ寄せされて、壊滅的な格差を生んでいるということ等々等々踏まえないと、

国産と外国産どっちが良いんだい!

が見えてこないですよね。

こんな感じで、(とくにマスコミから)公表される数字は、それを取り巻く周囲の要素も踏まえて考えたほうが良さそうです。

お気づきかもしれませんがこの記事に具体的な数字は出してないです。
ググればいくらでもでてくるし、そもそも明日にはガラッと変わってしまう可能性もあるので。

農薬無き世界

さてでは農薬が使えないとどうなるか、このへんにも触れてみましょう。

農家の生産労力の激増

もっと多くの人が、耕作放棄地なんてなくなるくらい農家になって、ほぼ一日中草取りや害虫駆除をしないといけなくなる

あなたが農業をせずに今仕事を楽しくできているとしたら、それは農薬のおかげかもしれない

生産量の激減

農薬が無ければ戦後の食糧難時にもっと餓死者が出ただろうと言われています。

私たち以降の世代で、いなかったかもしれない人がたくさんいるわけです。

永遠なのかいずれ問題克服するか分からないけれど、現状でそのまま農薬がなくなったら特に果実系はほぼ食べられなくなるよ

リンゴとか
ブドウとか

虫食い・歪、当たり前

なんだかんだいって見た目とか気にしてない?中に虫がいても黙って取り除くくらいのハートがないと何も食べられなくなるよ

這い出る虫
カットしたらこんなのが
這い出る虫
中にいるかもしれません

無農薬を望むのであれば、この辺りを受け入れないといけません。

おそらく本当に無農薬を望むなら、農作物栽培だけでは全員の食料はみたせなくて、具体的に、有用な野草や、昆虫、今までただ捕まって殺処分されていた中型野生動物なども食料の選択肢として捉える必要があり、

タンポポ、ヒメジオン、アライグマ、ハクビシン、カラス、スズメ、バッタ、芋虫

なおかつ、日本人の特に成人は、もっと少食に慣れておかないといけないと思います。

現代人はカロリー摂りすぎ。実際は一日2食で十分で、一食一食に魂こめたほうが良い。
このへんを覚悟したうえで農薬反対って言ってる?

農薬はダメ、を口にするなとは言いません。ただいざとなればこの辺を覚悟する、という意志がない反対意見は、どうなんでしょうか。

どうなんでしょうか?

さんざんいろいろいったけど

…というように農薬についていろいろな角度から、できるだけ偏らないように注意して書いてきました。

が、冒頭でも述べたとおり、6080プロジェクトは無農薬栽培を推していますが、その根本的理由に農薬が安全か危険かは、

ほとんど関係ありません!

Σ( ̄□ ̄)!!

よ、4000文字くらいかけて真面目に語ってきたのに?

家庭菜園を収支プラスで成立させるには、生態系の利用は必須です。農薬はそのほとんどが、周囲の生態系を破壊してしまうし、そもそもその資材や機材にお金がかかるし、一度使ったら継続し続けなければならないのでずっと依存することになります。

あ・く・ま・で・も、家庭菜園なのだから、どうせなら無農薬でやりましょう。

農薬無き世界であんなに脅してきたのにそんなことできるのか?
ごもっともです。
厳密にいうと、天敵(ハチやクモやカマキリ)なんかも農薬として定義されています。この辺りはガンガンに利用していくので、無農薬ではありませんね。

すごく重要なので同じことを何度も繰り返しますが、農業ではないので、やりようはあります。
具体的な詳細は別記事で。

最後まで読んでくれてありがとう!
またね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました