個人の自給自足には絶対これ!【協生農法】で無理の無い食料生産

協生農法トップ 農・栽培

今回は具体的にこのWebサイトでおススメの農法をご紹介したいと思います。
その名は、『協生農法』です。

なんだい、協生農法って?
と、初めて目にする方も多いかと思います。

まずはどのように生まれた農法なのかというと…

協生農法は、(株)桜自然塾 大塚隆による原形を元に、(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)   舩橋真俊による科学的定式化と検証を経て、実践と改良を重ねています。

一般社団法人シネコカルチャー

協生農法の名付け親は船橋氏

協力しあって生きる、で、協生農法

大塚氏が自身の経験をもとにまとめ上げた理論を、船橋氏が科学的観点から裏付けていく。そしてAIなどの技術を使ってデータを蓄積していき、再現性を高めるためにソニーとかが絡んでいる、と筆者は受けとめています。

そして協生農法の普及を目的に、船橋氏を中心として一般社団法人シネコカルチャーが立ち上がり活動しています。

※協生農法は株式会社桜自然塾の商標または登録商標です。

※Synecocultureはソニー株式会社の商標です。

今回はシネコカルチャーが提供しているガイドやマニュアル、Webサイト内の内容を中心として参考にしつつ、試行錯誤ながらも実際やってみている私自身がこう解釈しているよ、という内容でお届けしたいと思います。

筆者の協生農法実験農園
自分の畑:2020年から始めました

間違ってたらごめんね

協生農法とは

協生農法とは、地球の生態系が元々持っている自己組織化能力を多面的・総合的に活用しながら有用植物を生産する農法です。食料生産だけでなく、環境や健康に与える影響までも包括的に考えられた立体的な生態系の活用法であることが特徴的です。

一般社団法人シネコカルチャー

まず原則として、地球の生態系には、自己組織化能力があります。

つまり、放っておくと森になっていく

この力を利用するのが協生農法。

その力を利用して、有用植物(人にとってメリットのある植物)だらけの森を作るって感じだよ

自己組織化能力

生態系が構築されれば、生き物が住みやすい範囲に自分で環境を調整し始める。

そうすると、森になっていこうとする流れが高まり、ますます多くの生き物が暮らせる環境になってを繰り返していく、が、相乗的に高まっていく。高まれば高まるほど、生態系サービスが向上していく。

生態系サービス

生態系サービスとは…

生態系は(もちろん一番はオノレのためですが)人間にとって次の5つのメリットを提供してくれます。これを生態系サービスと呼びます。

・供給

食品や水といったものの生産・提供

・調整

気候などの制御・調整

・文化

レクリエーションなどの精神的・文化的利益

・基盤

栄養循環や光合成による酸素の供給

・保全

多様性を維持し、不慮の出来事から環境を保全

この生態系構築を人間が手伝う

これらの生態系サービスをちゃっかり享受しようというのが目的です。
手を入れなくても森になっていきますが、風に運ばれて種が飛んでくるように、完全自然まかせではとてつもなく長い時間を必要とします。
また何もしなければ自己組織化能力は働けども有用植物だらけにはなりません。

そこを自分達にとって利益のある植物の種を蒔いたりして、有用植物の比率アップを促したりするのが協生農法における人間の仕事です。

森になろうとする流れが中心にあって、流れのスピードや方向をちょっぴり人間が微調整するイメージかな

自然だけに任せていても有用植物だらけの森にならない。人間の手が入って初めて協生農法となる

耕起・肥料・農薬不要

生物多様性が高まると、土壌はより生き物にとって住みやすくなっていきます。

生態系機能の働きを中心とすると、全ての生き物が、それぞれ生育に適した環境・場所を構築していきます。これをニッチ形成と呼びます。もっと平たく言うと、助け合い(互助会)を生き物同士でどんどん作っていく、ですね。

生物多様性が高まるということは、食物連鎖が活発になるということです。

食物連鎖が激しくなればなるほど、一つの生物(病原菌や害虫)が大量に発生することがなくなります。

このように、生態系機能が高まっていくと、耕起・肥料・農薬が不要になります。

  • 生物多様性増進による撹乱→耕起がいらない
  • ニッチ形成→肥料がいらない
  • 食物連鎖→農薬がいらない

なので、協生農法は基本的に、農園内に人間が持ち込んで良いのは、『種』と『苗』のみ!となっています。

本当の本当にごく一部の例外を除いて、種と苗以外を持ち込んだら協生農法とは言わない、とハッキリ断言してます

そのかわり種と苗しか必要ないんだからそのコストはごくわずか。すぐ始められる

協生農法が提供しているのは原理原則

協生農法の大部分は、生態系構築の早め方と利用するための考え方(原理)が中心で、多分多くの人が知りたがる具体的なやり方にはほとんど言及してません。

畑確保しました。どこになにを植えれば良いですか?

決まってないので好きなの植えて

これに関しては一般社団法人シネコカルチャーのFAQにある飛行機の例えがすごく分かりやすいのでこれをさも自分で思いついたかのように書かせていただきます。まずは…

『空気は、物体に特定の条件下で揚力を発生させる』

これ自体は変わることがない普遍的な物理則だよね。

次に…

『飛行機はこの原則を利用して作られているが、その形や大きさは様々』

何人乗るのか、どこまで行くのか、なにを運ぶのか、どのくらいの高さを飛ぶのか等々、目的によって飛行機の大きさも形も材質も動力も変わってくるはずです。

でも空気の特徴を利用することには変わりません。

そしてこの空気の特徴は、これからもずっと変わることはありません。

協生農法は、このような生態系に関する原理原則の部分を学ぶのです。

たくさん飛行機が存在するけど、利用している原理原則はたった一つ!これとおんなじだから、協生農法は実践者ごとに畑の様子が違うのは当然

その他にもこのFAQは協生農法を理解するために必読だよ

あらゆる場所・環境で応用できる

なので逆に言えば、個人個人の目的によって柔軟に変えられるということです。

例えば、十分時間をとれないなら果樹を中心にして、収量よりも管理コストの低減を優先させても良いわけです。

1㎡からでも始められる

協生農法の良いところは、確立されている原理原則と真正面から向き合っていること。だから再現性がどんな農法よりも高い。そして、手法自体はキッチリ決まっていないので、あらゆる環境で応用できるということにあります。

ブルキナファソ

それを明確に証明してみせたのがブルキナファソの事例です。

ブルキナファソ? そーれい!

ここ!ブルキナファソ!

ブルキナファソの地図

…サハラ砂漠の端っこにあるんだ

砂漠に近い乾燥地帯ということから想像できるように、ブルキナファソは食糧生産状況がとても深刻です。

でもこの動画のように、約2年弱で食料が生産できる状態に。

砂漠が緑地に変わるの?農業と真逆じゃん

日本ではどうだろうか

このようにブルキナファソではわずか500㎡で20人分の年収を得られるほどの収益化に成功しましたが、日本で農業として成立させるにはまだまだたくさんの課題があります。

その最もたる原因は流通です。

日本では品種・形・大きさ・色等が規格化されていて、外れるモノは売り物にできません。

協生農法でできる作物はまず不揃い。収穫もまとめて一定にとはいきません。その上交雑も受け入れますので品種も変わります。

大根のようなカブができたり、白菜とかも平気で結球しなかったり。
でも食べられるからオーケーとするのが協生農法。
従来の農協ありきの販売は難しい。

家庭菜園にはピッタリ

そう、食べられればオーケーとすれば、農業で必要とされる労力のほとんどを必要とせず、コストも激減する協生農法はまさに家庭菜園にうってつけです。

学ぶにはまずなにをすれば良いだろう?

『シネコポータル』

シネコカルチャーでは学習キットとして『シネコポータル』という入門学習ガイドを公開しています。

まずはこのシネコポータルを一つ作って観察してみよう

また、より具体的、実践的に学ぶため『協生農法実践マニュアル』も公開されています。

まさにより実践向け。難しい言葉も出てくるけど、読んではやって、やっては読み返すを繰り返していけばきっと大丈夫

自然農・パーマカルチャーとの違い

ここまで協生農法についてあれこれ書いてきましたが、多分多くの人がモヤモヤしていることがあると思います。知っています。私も最初思いました。

自然農やパーマカルチャーとどう違うの?

人の役目がそもそも違う

自然農やパーマカルチャーは一部の生態系の働きを利用しつつも、あくまでも作物を育てるのは人です。

しかし協生農法では人のやることは生態系の流れの中で、人にとって有用となるモノを配置するだけ。
実際の生育は生態系の流れに任せます。
ここが似ているようで全く違うところで、あくまでも一例ですが、二つほど大きく違う特徴を挙げてみましょう。

二つとも自然農ではまずやらない

最も分かりやすいのが樹木の存在

生態系を作るのが人の役目。そして生態系に必要なモノの一つが『木』です。

自然に任せていては木の実が偶然に落ちて発芽するのをひたすら待つですが、ここが人の仕事の部分で、木を植えることから協生農法は始まるといっても過言ではありません。

木を植える理由

木を植える理由を優先度の高い順に挙げると

  1. 野菜のための半日陰を作る
  2. 虫や鳥を呼ぶ
  3. 落ち葉による腐葉土の形成
  4. 果実の収穫

だそうです。

自然農では必須じゃないよね。でもあくまでも生態系機能・生物多様性の増進を目的とすると圧倒的に木はあったほうが良い

混生密生

もう一つが出来るだけ多種多様な植物で混生密生させること。

森をイメージしてください。地表面が剥き出しになっているところは少なく、多様な植物にほぼ覆われていると思います。
これにも理由があって、このように植物が地面を覆い尽くすことで水の蒸発を防ぎ、地中に敷き詰めた根でガッチリと保水をするんです。
人が水やりをしなくても育つ理由はこれです。

これが正常な生態系の姿なので、協生農法ではとにかく大量に多様なタネをばら撒きます。

初めは不安に思うかもしれないほど大量に蒔くのですが、実際はほとんどの植物は混み合えばお互い相談しあって場所を譲り合って共生します。

よぅし。キャベツで埋め尽くそう

一種類だけ大量発生するのは生態系にとって異常事態。解消しようとキャベツを食べるムシがたくさんわいてでてくるのがオチだよ

なるほど。だから多種多様にするのか…

最初に述べたように、生態系が本来もつ自己組織化能力を利用するのが協生農法なので、こうなってほしい「目的」を、自分達が直接植物になにをしてやれば「達成」できるかではなく、生態系をどう促せば「達成」できるかが基準になります。
なのでとにかく、自然の原理原則の理解が必要になります。

このあたりを意識すると、自然農等との違いが見えてくるのではないでしょうか。

さらにディープに知りたいなら

大塚隆氏(通称ムーさん)のブログ

野人エッセイす

圧倒的な行動のアウトプット。農法だけじゃない。今までの常識が覆ること間違いなし

大塚隆氏の提唱する協生理論はあまりに奥深いため、その理解にはさらに深い考察を必要としますが、なにはともあれ実践してみないことには始まりません。

少なくとも協生農法については、シネコカルチャーの公開しているマニュアルに沿ってトライアンドエラーを繰り返していくことが最も入りやすい入口ではないかと思います。

終わりに

いかがでしたでしょうか。
協生農法のイメージだけでも、なんとなくは掴めたでしょうか?

農法の多くは、概念を先行させているものが多く、ここはこうしましょう、という「やり方」だけが抜き取られがちで、「なぜ、そうなるのか」「なぜ、そうするのか」という理論が軽視されがちな印象を私は持っています。

なんで支柱を立てているの?

本にそう書いてあったし、みんながそうしてるから

でも自然を相手にする農作は、あらゆる要素が複合的に絡み合って現象となります。総合的な根底部分が分かっていないと失敗した時に、何が原因だったのかわかりません。成功してもそれが成功の直接の要因となったのかもわかりません。

協生農法のように、大自然という膨大な範囲をとらえた理論とガッツリ向き合っている農法は、実は本当に少ないです。
そしてその理論が伴わないと、本当の意味で生態系に寄り添った再現性は生まれません。
協生農法はそのやり方が今までにないところが注目されがちですが、この理論から逃げない、という姿勢と、あまりにも家庭菜園にとって求める要素がピッタリと当てはまりまくることもあり今回ご紹介させていただきました。

今後もこのような、6080プロジェクトの趣旨に沿い、かつ、理論を伴った農法をご紹介していきたいと思います。

最後まで読んでくれてありがとう!
またね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました