家庭菜園で雑草の活かし方:味方ではないけども敵ともしないポイント

農・栽培

植物の栽培で、切っても切れない存在が雑草です。

特に農業では、農地に雑草が少しでも生えていると、ちゃんと農業やってない、サボっていると周りの農家にレッテルを張られてしまうくらいに嫌われている雑草。

どこにでも何度でも生えてくる雑草との付き合いは、家庭菜園においても例外ではありません。

今回はこの雑草に注目して、家庭菜園ではどのように対応していけば良いかの一つの提案をしたいと思います。

まず改めて雑草とは

この記事では雑草の定義を

『農耕地における目的作物以外の植物』

とします。

なぜ雑草が嫌われるのかというと、とにかく作物の生長を妨げるイメージなんです。

その理由

  • 日当たりが悪くなり
  • 風通しが悪くなり
  • そんな環境が病原菌の温床となり
  • せっかくいれた肥料が奪われると

農業にとって雑草は、百害あって一利無し、なのです。

この雑草を排除する『除草』という作業が「農業」にとってトップレベルに費用のかかる作業となります。
なんせヤツらは、上記のような被害を与えるクセに目的作物と混在して生えてきます。なのでより分けて雑草だけを除かないといけません。

抜いてしまえ。ひたすらに

抜く?

雑草は基本的に根っこからとらないとまたすぐ伸びてきます。

こんなことを手作業をやっていたら、農作業の時間の大半を草取りに費やさなければならなくなります。

野菜と雑草
絡み合って生える
除草
雑草だけを取り除くのは大変

一斉に刈ってしまえるならまだ機械で許容出来そうな作業なのですが、作物は残さなければならず、そうもいかないのです。

しかも根っこごと抜いてしまっては土が締まってどんどん固くなるという弊害もでます。

そこで除草剤

除草剤使用イメージ

除草剤は、作物に影響なく雑草だけを枯らすことができる選択性と、一緒くたに枯らしてしまう非選択性の二つに分かれます。

除草剤のその仕組みは

  • 光合成を邪魔する
  • ホルモンを乱す
  • 老化やガン発生を促す活性酸素を生成
  • 栄養代謝や細胞分裂の阻害

などなど様々なやり方があります。

選択性除草剤の仕組み

雑草と作物の微妙な特性の違いを利用…例えばある特定の酵素の有無など

作物まで枯れちゃ本末転倒だね。使われるのは選択性かな

非選択性も以下のようにして使われるっぽいよ

もう一つのアプローチ

無理矢理除草剤が効かないように作物の方の遺伝子を変えることも行われています。

特定の除草剤を不活性化する酵素や、特定の除草剤の影響を受けない酵素を作る遺伝子を導入したいわゆる遺伝子組み換えですね。

土壌細菌などからその除草剤の影響を受けない遺伝子を見つけて植えつけるそうです

選択性も、100%完璧に雑草だけを枯らすわけでもないので、非選択性で確実に植物を枯らしつつ、その除草剤に確実に耐える作物を作ってしまったほうが再現性が高まるということで、このセット販売が農業においては好まれたようです。

除草剤のデメリット

除草剤には以下のようなデメリットがあります。

  • 土の酸性化を促す
  • 土壌環境変化による微生物死滅
  • 土の固くしてしまう

薬も手作業も、どっちみち土が固くなるのね

だから耕す必要がでてくるんだ

噴霧器

ちなみに除草剤そのものだけで無く、当然ながら散布するための機具も必要ですし、大人たちは安全性を謳っていますが、なんだかんだ使用時はゴーグル・マスク・グローブは必須になりますので、このへんも出費ですね。

家庭菜園に落とし込む

以上のように除草を完璧にやるとなると、手作業ではまず非現実的。機械や除草剤を使用すると余裕で赤字になるというお決まりのパターンになります。

労力はソコソコ。費用もできる限りかからないようにするにはどうすれば良いでしょうか。

雑草対策の一番は環境を変えること

人間が手を加えることが無ければ、その場所には生態系が集まってきます。時間はかかれど、土壌は段々と野菜の生育にとって良い土壌となっていきます。

するとどうなるか。そこに生えてくる雑草がだんだんと変わってくるんです。

雑草って実は弱い?

どう見たって野菜なんて育ちそうにない貧弱な土壌でもしつこく生えてこれる雑草は、一見とても強い印象を受けますが、実際はライバルがいないから育つことができているんです。

隙間から生える雑草
こんなところにも生えちゃう

特に厄介な雑草のほとんどは、もし他の草も生えることが可能な環境であれば、生存競争に耐えることができずに消えてしまうのです。

強そうに見えても実は弱い。それが雑草です。

土が良くなればなるほど管理が楽になる

固い土に生える植物は、総じて根の張りがとても強く、刈るにも抜くにも大変な作業となります。

これを力任せに排除するとそれだけ土が動いて締まり、ますます固くなってますます根の張る雑草ばかりになる悪循環になります。

耕すの記事で触れた通り、植物の根は土の中を掘り進んで柔らかくしていきます。

その場所に生い茂れば茂るほど土中は根が絡み合い、やがて枯れて空洞となり絶妙な柔らかさになるのです。

柔らかい土に生える雑草は根の張りも浅く、柔らかく、背の低い種類が多くなります。

クローバー

こういうタイプは生育の日照や風通しを妨げないので、作物と共存しやすくなるというわけです。

雑草を全て刈る必要はない

農業であれば雑草を一本でも残すことは許されませんが、生態系を利用する家庭菜園では、むしろ草を全て除いてしまってはいけません。

基本的に、絶対に取り除いたほうが良いのは、日当たりや風通しの邪魔をしている作物の周囲の草です。
全てではありませんが、多くの作物にとって日当たりや風通しは重要なので、周りが背の高い草で極端に覆われてしまうと生長できなくなって、いつまで経っても小さいまま、だったりします。

雑草を全部無くす必要がない。これだけで、手作業がグッと現実的になるね。

それでも、季節によっては楽ではないけどね。

人間がそれを促す

根を残して草を刈る

植物は光合成で糖を作りそれを根から出します。
それを求めて微生物は寄ってくるので、根に集中します。
なので根ごと引き抜くとそのまま微生物の世界が壊れ死滅してしまうのです。

それを防ぐために、根の部分がそのまま残るように地表面付近の、気持ち土の中よりで刈り取るようにしましょう。

こうすることによって根を残しつつ植物が再生しやすい生長点と呼ばれる部分を刈り取れるので、どんなに再生力の強い雑草でも再生にすごく時間がかかるようになります。

さらに刈りとった草をその場に敷き詰めるように置けば、雑草の抑制・土の保温保湿・巡り巡って土の中に養分として蓄積されます。
特に先ほど述べた作物の日当たりや風通しのために刈った草は、その作物の周りに敷き詰めればそこに再び雑草が生えづらくなります。

このように土を覆うことをマルチングと呼んで、農業ではビニール製が使われる。当然ビニールマルチのほうが雑草抑制や保温保湿においては圧倒的に高性能

でも草はタダでそこに勝手にいくらでも現れる。ゴミにもならない。80点で良しとできるならこんなに良い素材はないね!

草マルチ
刈り草を敷いたマルチ
ビニールマルチ
ビニールマルチ
ビニールマルチのゴミ
ビニールはゴミになる

役割を持つ

先程、雑草は弱い、と表現しましたが、より正確な表現をすると、生態系は一丸となって森になろうとしていて、植物は自分が一番働ける状態の土壌に現れては土を良くして、自分の役目を果たして去っていっている、ではないかと思います。

根を残して草を刈り、それをその場に敷くという行為は、それをなるべく邪魔せずに早めているわけです。

寿命を全うさせるか殺してしまうかの違いだね

言い方っ!

雑草を利用して土を良くしていけば、質も量も変わっていく。

ここにもパレートの法則は活きてきます。

100%雑草を無くそうとすると多大な(100%の)労力と費用がかかりますが、80%で良しとする(20%は残っちゃっても良いやと考える)と、ほとんど費用はかからなくなります。

雑草の存在にも意味があり、その働きを十分に理解して、ちゃっかりと利用してしまいましょう。

土が良くなるほど管理しやすく、野菜とも共存しやすい雑草が増えてくる

最後まで読んでくれてありがとう!
またね!

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